現状分析と将来予測から経営トップがどのような決断をするのかによって、企業の存続が左右される、
そんな時代になってきたように思います。
今回は、開業と同時に突然「経営者」としての役割を担うようになる院長が、いったいどのような仕事をしなければいけないのか、をまとめてみます。
1.診療
まずは当たり前ですが歯科医師としての診療という仕事があります。
開業前とは違って、すべての責任を背負っての診療はプレッシャーになりますし、後述する他の業務をこなしながらの診療は体力的にも相当ヘビーなものです。
過度にストレスをためることなく、体力的にも多少の余裕を持っての診療が、安定的な医院運営上は望ましいですが、そのためには効率化や仕組化など、様々な工夫が必要になるでしょう。
2.マネジメント
院長になっておそらく初めて担う役割のひとつにマネジメントがあります。
マネジメントを「ヒトに関する仕事」と広くとらえると
・スタッフ募集、面接、採用
・教育、コミュニケーション
・人事評価
・モチベーションアップのための施策
など、量的にも質的にも、院長にとっては大変負担の大きい業務です。
3.マーケティング
マネジメントと並んで院長の重要な仕事と位置付けられるのが
「マーケティング」です。
・ターゲットをどんな患者に決め、どう認知してもらい、どう来院してもらうか
・ホームページやSNSの運用
・紹介患者を増やすための工夫
・自費を増やすための取り組み
・ブランディング
などこれまた勤務医時代にはあまり考える機会のなかった業務ではないでしょうか。
ただ、いまではネットや各種セミナー、書籍などで、どんな取り組みが選択肢としてあるのかを知ることは容易です。ノウハウ自体に価値がなくなってきています。
そこで重要になってくるのが
①自分の医院の置かれた状況や環境、今後目指すビジョン、にマッチする戦略を選択すること
②とにかく行動して、PDCAサイクルを高速で回すことの2つなのではと考えています。
4.経理
開業後の院長室はたいてい書類の山で埋もれてしまいます。
納品書、請求書、見積書、契約書、歯科医医師会からの書類・・・とにかく紙の書類が次から次に院長の元へ届きます。
帳簿作成は税理士に頼んでいたとしても、材料代や技工代の支払い、給料の振込、窓口売上の口座入金、口座間の資金移動、などは院長自らしなければなりません。
税理士に「どうすればスムーズに経理業務を行えるか」を相談し、できるだけルーティーン化して負担を軽減できるよう、早い段階で準備したい部分です。
5.雑務、庶務
意外と大変なのが、細々とした雑務です。
給与計算や入退社の手続は社労士に任せることが可能ですが、備品発注や院内清掃、各業者とのやりとり、年賀状の準備、など挙げるときりがないほど、医院経営をしていると様々な業務が発生します。
院長が本来すべき仕事に専念するためには、スタッフや外部の専門家に任せる部分は任せてしまい、しっかりとチェックする体制だけを整えることが重要となります。
6.意思決定
院長の最も重要な仕事を一つ挙げるとすれば、それは間違いなく
「意思決定」です。
スタッフや専門家に相談することはできても、
決断をすることができるのは院長ただ一人です。
急患の受け入れなど日常的な意思決定に加え、年末年始の休診日や診療時間の変更、コロナ対策をどこまでするか、スタッフ増員や賞与の額、チェアの増設、など経営者の毎日は決断の連続です。
院長がリーダーシップを発揮して、ブレずに決断をしているかどうかは、常にスタッフに見られています。「うちの院長は頼りないな」「この院長にはついていけないな」と思われないよう、思い切った決断をし、またその決断の理由をスタッフにわかりやすく説明できるリーダーが求められています。
本当に院長の仕事はボリュームが多く、大変だなと近くで見ていて感じます。
会計事務所としては、院長が意思決定をするために必要な情報を提供することで、お役に立ちたいと考えています。
何もかも一人で抱え込んでしまって大変だとお悩みの院長(そうなりたくない開業をお考えの先生)がいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談ください。