個人事業で医院経営をされている先生が一番に考えるべき節税テクニック、それが小規模企業共済への加入です。
小規模企業共済とは?
簡単にいうと、国が運営する中小企業経営者のための退職金積み立て制度です。大企業の役員やサラリーマンの場合はしっかりと退職金の制度がありますが、クリニックの院長などに対しては退職金制度がないのが通常です。そこで、国が用意した退職金積み立て制度、それが小規模企業共済というわけです。
どんな制度なの?
<加入資格>
小規模企業共済には誰でも加入できるというわけではなく、次のような加入資格が定められています。クリニックの院長に関係する部分のみ抜粋すると
商業(卸売業・小売業)、サービス業を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下
つまり、正社員が5人以下の場合は加入できます。また、これはあくまでも共済加入時の人数要件であって、その後従業員の数が増加して要件に該当しなくなったとしても、解約の必要はありません。ただし、5人以下の条件を満たしていても、医療法人の役員は加入できないため注意が必要です。
<掛け金>
月々の掛け金は、1,000円から70,000円まで、自由に決めることができ、途中で変更も可能です。
では、なぜ小規模企業共済がなぜ節税対策として有効なのかを見ていきます。<節税メリット①~掛け金全額が所得控除として使える~>支払った社会保険料などと同様に、その年に支払った小規模企業共済の掛け金は全額が所得控除として使えます。
Max7万円/月×12ヶ月で計84万円がそのまま所得から控除できてしまうというわけです。
この場合の節税額は、所得が1000万円の方でいうと、約▲36万円(所得税、住民税)にもなります。
単に積み立てるだけで、毎年毎年これだけの節税ができてしまうのですから、利用しない手はないですね。
<節税メリット②~返戻金は退職所得として税金がぐっと優遇される~>ここで一つ心配なのが、解約して返戻金を受け取るときにガサっと税金がかかってしまうのではないかということです。
しかし、実際はその逆で、受け取るときには退職所得扱いになるため、税金をこれまたググッと抑えることができるのです。
例えば、7万円/月の掛け金を20年間払って、個人事業を廃止したとします。
掛け金はトータルで約1,680万円
返戻金は約1,950万円(そもそも利息が270万円もついてくる!)
これに対して税金は約132万円。(退職所得扱いで安くなっています)
利息の方が税金より多いですから、実質無税で退職金を受け取ることができるわけです。
このように退職金の積み立てもでき、節税メリットも大きい小規模企業共済。
個人事業での節税にお悩みの先生はぜひご加入をご検討ください。
(参考:小規模企業共済HP)
http://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/