99%のクリニックが抱えている問題、それが「人」に関する問題です。
様々な医院を回る中で、スタッフに関する悩みを聞かない日はありません。
最近流行り(?)の、飲食店従業員の「悪ふざけツイッター投稿」などを見ていてもわかるように
企業経営の生命線は「人材」であり、いくら商品そのものが良くても、上手にマーケティングをしても
従業員の教育がおろそかだったり、チーム内のコミュニケーションが円滑に行われなかったりした場合
経営というのはいとも簡単に破綻してしまう、という怖さを改めて感じます。
特に医療機関も含めたサービス業においては、人材の重要性はさらに高まります。
スタッフに関する問題は、大きく4つのステップに分類することができます。
1.採用(良い人が採用できない)
2.定着(すぐに辞めてしまう)
3.成長(モチベーションが上がらない)
4.退職(退職時にもめる)
4つのステップそれぞれについての対策を考えることも必要ですが
今回は一本縦の筋を通し、これら4ステップに共通する、スタッフ問題の原因と対策について考えてみたいと思います。
スタッフ問題の原因は2つあります。
1.院長の態度
これについては、コンサルタントの中でも「タブー」として扱われることが多く(お客様に対してなかなか言いにくい・・・)
誰からも指摘されないため、院長自身も気づかないまま、損な行動を取り続けていることが多いのではないでしょうか。
例えば
・感情的に怒る
・スタッフの話を聞かない
・スタッフへの感謝がない
・指示や取組に一貫性がなく、言ってることがコロコロ変わる
・ケチ(だと思われるような言動)
・えこひいき
・セクハラ
・売上至上主義
・褒めることが苦手これらはほとんどがコミュニケーションに関係するものですが
クリニックの場合、スタッフのほとんどが女性という特殊な事情もあり、通常の会社以上に慎重な対応が必要となります。
また、スタッフの不満は院長へ直接上がってきません。
院長がスタッフの不満を知るのは、おそらくそのスタッフが退職を申し出るときです。
「機嫌よく働いていたと思ったのに、えっ?そんなこと思ってたの?」
いくら風通しのいい医院風土があったとしても、雇う側と雇われる側という立場の違いは想像以上に大きいものです。
まずは自分の行動を客観的に見つめなおすことではないでしょうか。
さらに、ある程度の規模の医院であれば、迷わず中間管理職としての
事務長採用を検討すべきです。
2.システムの問題
院長はスタッフのことを思って日々接している、でもスタッフからは不満が噴出・・・
その場合、院長自身にではなく、医院のシステム自体に問題がある場合がほとんどです。
例えば
・医院理念や方針が不明確(またはない)
・そもそも、給与水準が相場に比べて低すぎる
・残業時間、有給休暇などで労働基準法違反をしている
・むやみに役職を与え、責任を役職者に押し付ける(丸投げ、フォローしない)
・スタッフの役割分担が不明確で、頑張った人が損をする仕組み
・マニュアルがない
・新人教育の方法や担当が決まっていない
・全体ミーティングが形骸化している(どうせ意見出しても意味がない)
・個別面談、交換日記など、密なコミュニケーションを取る機会がないこれらは、院長やスタッフといった「人の問題」ではなく、あくまで
「システムの問題」です。
特に労務に関するルールは、医療機関を知らない税理士や社労士などの専門家が、一般企業のルールをそのまま適用してしまったため
おかしな結果をもたらしてしまっている事例も多く見てきました。
院長にもスタッフにも罪はなく、悪いのはシステムだったのです。システムを変えたり整えたりすることで、いまある問題の多くは解決するのではないでしょうか。
そのためにも、まずは「どんなシステムがスタッフにとって不満でストレスで納得いかないのか」という率直な意見を吸い上げることが重要です。