先生方が歯科医院の開業準備を進められる中で、様々な専門業者や専門家の話を聞く機会があります。
医療機器メーカー、歯科材料ディーラー、技工所、などはなじみ深く、その業務内容もイメージがつくのではないでしょうか。
しかし、設計会社と施工会社、税理士と社労士、保険会社とファイナンシャルプランナー、といった話になると、イメージが少し曖昧になるかもしれません。
そこで今回は、その中でも特に関わりの深い、税理士と社労士の具体的な業務内容、どんなときに何をしてもらうのか、をご紹介していきます。
ではもっとも身近(?)に感じていただいている、我々「税理士」の業務内容について見ていきましょう。
1.税金の計算と税に関する申告
「税理士」という名前の通り、我々は税に関する専門家です。
先生方の代理人として、税務署に必要な届出を行ったり、確定申告書を作成をしたり、税務調査に立ち会ったり、が代表的な業務です。
中には「税金を安くしてくれるプロ」「節税こそが仕事」と誤解されている先生がいらっしゃるかもしれませんが、そもそもの業務は税金をルールに従って正しく計算することです。
そのうえで、数ある選択肢の中でどれが有利か、税金面を考えて投資のタイミングはいつがベストか、といった提案をしてもらえるかどうかは、税理士次第、契約次第、になります。
2.記帳代行
今月の売上、経費、利益がいくらだったのかを把握するためには、試算表という集計資料を作成する必要があります。
試算表は、通帳コピー、領収書、請求書といった元になる資料を先生方からお預かりし、税理士が記帳(会計ソフトに入力すること)することで出来上がります。
記帳は税理士の資格が必ず必要というわけではなく、簿記の知識があれば誰でもすることができます。
実際、院長の奥様が会計ソフトを購入され、自力で入力をされているクリニックもありました。
ただ、多忙な中で入力をしていただくのは大変ですし、入力漏れや入力間違いによって経費計上が漏れる心配もあります。
数万円は顧問料が高くなりますが、できる限り記帳業務は税理士にアウトソーシングしていただき、先生方には本業に専念していただくことをお勧めしています。
以上2つが税理士の基本業務ですが、歯科専門の会計事務所、財務コンサルティングに力を入れている事務所、では次のような内容も税理士に相談可能です。
3.資金繰りや融資に関する相談
歯科専門の事務所は当たり前のように提供している融資サポートですが、一般の税理士事務所では対応していないところも多いようです。
なぜならば、融資のためには「事業計画書」という書類を作成しなければなりませんが、歯科医院経営の知識がなければ、説得力のある計画書はなかなか作成できません。
さらに、歯科医院の開業融資に積極的な銀行、もっと言えば積極的な支店や担当者、とのパイプがあるかどうかが重要になってきます。
融資に限らず、「これくらいの売上で資金は十分に回るのだろうか」「いま手元資金でチェアを買ってしまっても大丈夫だろうか」といった資金繰りに関する相談も、税理士の経験や顧問契約の内容によって、頼れるかどうかが変わってきます。
4.経営に関する相談
税理士はそもそも経営の専門家ではないため、経営に関する相談ができるかどうかは、まさにその税理士次第になってしまいます。
といっても、開業を成功されるために、「どんな準備をしておけばいいのだろうか」という悩みは多くの先生がお持ちでしょうし、開業後も「チェアを増設するタイミングはいつ?」「スタッフを増員すべき?」「医療法人にした方がいい?」「訪問診療ってどうなの?」といった疑問は尽きないはずです。
経営者は孤独と言いますが、院長一人で全ての経営判断を行うのではなく、ぜひ良き相談相手(税理士でなくても)を近くに置いていただきたいと思います。
次に、税理士とならんで先生方が深く関わられるのが社労士です。
労務の専門家というイメージは持たれていると思いますが、次回ブログで詳しくご紹介していきます。