コロナ禍で企業のデジタル化が一気に進んでいます。
デジタル庁の創設が決定するとともに、
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が、
いたるところで聞かれるようになりました。
そこで今回は、歯科医院におけるデジタル化の具体例をいくつかご紹介します。
まず、「デジタル化」「DX」という流行り言葉に飛びつく前に、
デジタル化の目的について確認したいと思います。
目的は大きく分けて次の
3つです。
1.効率化
2.データ活用
3.コミュニケーション推進それぞれの目的について、具体的に考えてみます。
1.効率化
これは、例えばいままでは手作業で行っていたものをデジタル化することで、
作業にかかる工数を削減できる効果のことをいいます。
具体的には
・紙のアポ帳を予約ソフトに変える
・リコールハガキをLINEでの告知に変える
・タイムカードを指紋認証型の勤怠管理システムに変える
・紙の給与明細をやめて、WEB明細をメールで送るようにする
・ネットバンキングを契約したり、税金のカード納付を利用することで、銀行窓口に行く手間を減らす
などです。
これ以外にも考えればいくらでも効率化できるポイントが出てくるはずです。
また、同じ作業の繰り返しになっている部分をデジタル化することで
効率化が図れる場合もあります。
具体的には
・新人が入るたびに同じ新人研修を行っていたが、研修動画を作成することで効率化を図る
・「よろしくお願いいたします」を「よろ」と単語登録することで、メール返信にかかる時間を節約する
・毎月レセプトチェックに膨大な時間をかけているが、レセコンのエラーチェック機能を強化することで、
事後にかかる手間を省く
などが考えられます。
2.データ活用
次に、データを活用して、売上アップや従業員満足度につなげる、といった目的です。
具体的には
・レセコンの患者データ(時間帯、性別、住所)を分析して、次の一手を考える
・ヒヤリハットや患者からクレームをスプレッドシートに集約し、内容の分類、改善日時、などを漏れなく記録する
・キャンセル率、新患数と来院経路、メンテ占有率、などのデータを収集し、目標設定や改善活動の材料とする
・スタッフに対し性格診断テストを行い、長く続くスタッフ、活躍するスタッフの傾向を明確にし、
選考時の判断材料とする
などがあります。
データを活用するためには、まずデータを収集することが必要になってきますので、
負担なく収集可能な便利ツールはないかと探してみてはいかがでしょうか。
3.コミュニケーション推進
コミュニケーションというとアナログに勝るものなしというイメージがありますが、
デジタル化によって円滑なコミュニケーションを達成できる部分もあります。
例えば、日々の情報共有や報告事項について、わざわざ紙に書いて回覧するのは面倒ですし、
朝礼で共有するルールにしていてもスタッフが人前では積極的に発言してくれない場合もあります。
そこで、チャットワークやサイボウズのようなチャットアプリを導入し、目的ごとのチャットグループを作ったり、
報告が必要な事項を明確に定義することで、いわゆる報連相が活発になる可能性もあります。
「患者さんから差入をいただいたので、パートさんの分も置いておきますね」
と単に付箋をつけておいておくより、
おいしそうなお菓子の写真をチャットアプリにアップする方が、医院の一体感が増すこともあるでしょう。
このように目的は違えど、
デジタル技術をうまく使いこなすことによって、医院経営にとってプラスの効果が生まれます。いまでは非常に優れたツールが格安、場合によっては無料で使えたりします。
なかなか開業後時間が経ってからでは導入しにくいものですので、
ぜひ開業前にどんなデジタルツールを使うのか、考えてみてはいかがでしょうか。