今回は歯科医院の経営を行ううえで非常に重要になる
変動費と固定費についてご説明していきます。
歯科医院における利益は、売上から経費を差し引いて計算されます。
今回はその経費の部分に着目し、経費を「変動費と固定費」という2種類に分類したうえで、
歯科医院のコスト構造を考えていきます。
1.変動費とは?固定費とは?
ラーメン屋をモデルにして考えてみましょう。
1杯のラーメンを作るまでには、様々なコストがかかります。
例えば、スープの材料や麺の仕入れ、テナント家賃、アルバイトの人件費、水道光熱費、広告費、などです。
この中で、「売上が増えれば増えるほど、それに比例してどうしても増えてしまう経費」とそうでない経費があります。
例えば、スープの材料や麺の仕入れ、はラーメンが売れれば売れるほど、売上が上がれば上がるほど、比例して増加する経費です。
このようなコストを「変動費」と呼びます。
「売上に連動して変動する経費」だから「変動費」と呼ぶのだと覚えてください。
一方で、テナント家賃や人件費は、ラーメンが100杯売れようが、0杯しか売れなかろうが、契約した時点で必ず発生してしまいます。
このようなコストを「固定費」と呼びます。
「売上に関係なく、固定で発生する経費」だから「固定費」と呼ぶのだと覚えてください。
2.歯科医院における変動費と固定費
変動費と固定費の概念を確認していただいたところで、歯科医院に落とし込んで考えてみましょう。
歯科医院では売上、つまり患者数の増加に連動して変動する経費としては、診療材料仕入と技工代の2つが該当します。
金パラやインプラント材料などは売上の増加に比例して仕入れを増やす必要がありますし、技工代も同様です。
例えば、これらの変動費が売上の20%かかると仮定します。
売上が100万の場合の変動費は100万×20%で20万
売上が300万の場合の変動費は300万×20%で60万
といった計算になります。
変動費は金額ではなく、率=%で考えることが重要です。「先月は技工代が20万だったのに、今月は30万もかかっている。どうしようか」
このような考え方は間違いで、正しくは次のように考えるべきです。
「先月は技工代が20%だったが、今月は25%もかかっている。何か問題はないだろうか」
あくまで「率=%」で考えるのが重要なポイントです。
次に固定費、はどのように考えれば良いのでしょうか。
固定費は売上がどうであろうが、毎月一定額、どうしても発生してしまうものです。
ですので、コスト削減、の視点から無駄な経費がないかをチェックする作業はとても重要です。
しかし一方で、
固定費は将来の売上アップにつながる先行投資を意味しています。
「広告費を毎月5万かけている。すこしでも経費削減のために広告費を減らそう」
このような考えでは将来の売上アップには繋げられません。
「広告費を毎月5万かけていることで新患が10人獲得できている。これを毎月10万に増やせば、新患が20人にできるのではないか」
とあくまでかかった固定費とそれによる効果を見極めながら、時には固定費をあえて増やしていく戦略が必要となります。
3.まとめ
確認の意味をこめて、売上300万、変動費率20%、固定費150万、の医院の利益を計算してみます。
売上 300万
変動費 60万
固定費 150万
利益 90万
利益を増やすには
①売上を増やす
②変動費率を下げる
③固定費を下げるの3種類の方法しかないということがわかります。
ぜひ、このように経費を分解しながら、医院の数字を考える癖をつけていっていただければと思います。