開業準備で物件選びと並んで大きなヤマとなるのが、資金調達、すなわち融資の交渉です。
その融資交渉の際に必ず必要となるのが事業計画書という書類です。
では、事業計画書とは具体的にどんな書類のことをいうのでしょうか?
事業計画書は
1.貸借対照表(B/S)
2.損益計算書(P/L)
3.キャッシュ・フロー計算書(C/F)という
3つの「表」で構成されています。
それぞれ、何を示す表なのかを順に見ていきましょう。
1.貸借対照表(B/S)
これは、財産の状況と借入の状況を示すための表です。
開業時に限っていえば、自己資金がいくらあり、どの金融機関からいくら借入をして、それを何に使う予定かを金融機関に対して説明する表となります。
例えば
自己資金(1000万)+A銀行借入(2500万)+B銀行借入(3000万
)⇒計6500万を調達内装費用(1500万)+医療機器(2000万)+その他(2000万)+運転資金(1000万
)⇒6500万を投入調達と
投入の金額が一致するところが貸借対照表の特徴です。
また、投入先となる内装費用や医療機器の金額については、適当な金額でもOKというわけではなく、根拠資料として業者さんから入手した見積書を添付する必要があります。
2.損益計算書(P/L)
これは売上、経費、そして利益といった医院の業績を示すための表です。
開業時には、開業後3年間または5年間の業績予測として作成します。
開業時は「実績」ではなく「予測」として作成する必要があるため、売上や人件費などの経費について根拠が必要になります。
例えば、売上の根拠となる診療圏分析、売上増の根拠となる広告宣伝計画、売上増に対応するためのスタッフ採用計画などが根拠となります。
これらの根拠と損益計算書数値との整合性、計画が実行可能で現実的かどうか、などが審査のポイントとなります。
3.キャッシュ・フロー計算書(C/F)
これは医院の資金繰りについて示すための表です。
いくら売上が上がっていても、借入の返済が多額だったり、軌道に乗るまでの運転資金が不足していたりすると、資金がショートし事業の継続が困難となります。
この点はお金を貸す側の金融機関が最も心配するポイントといえます。
したがって、損益計算書で業績の予測をするだけではなく、キャッシュ・フロー計算書で、すべてのキャッシュの出入りを予測し、資金繰りに問題が生じない計画であることを金融機関に対して示す必要があります。
これら3つの表をまとめて一般的に事業計画書と呼びます。
いまでは医療関連の業者さんが無料で作成してくれる場合もあるようですが、より根拠に基づいた精密な資料を作成し、金融機関に対してきっちりと説明する必要があることを考えると、数字のプロである会計事務所に作成を依頼することをお勧めします。